太陽が沈んで寒さが忍び寄ってくるころに
転換が終わって次のステージは
【フレデリック】だった。
いつもよりもコンパクトな
楽器のセッティング。
10日位前にリーダーでベースの
三原コージくんが喘息で入院。
すでに退院したと聞いたので、
今日は姿をみられるかな、と思ったけれど
彼を抜いてサポートドラムを入れての
アコースティックライブだった。
おもむろに楽器を触りながら
「ちょっと喋ってもいいですか〜？」
ボーカルの三原ケンジ君の声に
会場の全員がスタンディングで
踊ろうと出迎えていたのだけれど
前方から順に椅子に腰を下ろした。
「今日の出演の3バンド、
いろいろ、ありすぎでしょ！」
ケンジ君の自虐的な叫びに
会場が失笑した。
昨年秋の【フレデリック】の
kaz.さんの脱退に始まり
この1年の間に全てのバンドで
メンバーの脱退があり、
（昨年イベントを経験したメンバーは約半数）
アラウミドス自体が開催できるのか？
という綱渡りの状態だったこと。
この1年はバンド3組にとって
真の「荒海どす」
自分たちはもがいたし
周りにもたくさん迷惑をかけたし
ファンには心配をさせた。
でも、音楽を諦める選択肢はなくて
新たな仲間も加わって
ここから前だけを向いて行きたい。
音楽の神様が
「一筋縄ではいかない」
試練を与えてくれたのだと
考えているとのこと。
今日もアコースティックの編成だけど
【フレデリック】の新しい面を見せるから
楽しんでいってほしい。
そんな話をしてから
いつもとテンポの違う
「オンリーワンダー」からスタート。
続けて「オドループ」
体中ぞわっとするほどの
ケンジ君の圧倒的なボーカルに
口をぽかんとあけて
体を揺らせていた。
歌の間にMCをはさみつつ
ゆるい感じで進んでいく。
「うちの弟はいい歌を作るんよ！
今日もきっと中継を見てるんだな。
弟よ見てるか〜！
お兄ちゃんはがんばってるぞ（笑）」
アコースティックバージョンの
「オワラセナイト」この歌は
昨年の大坂野音「KANSAI LOVERS」で
けんじ君が号泣しながら歌いきった歌。
同じ場所ですこしゆったりと歌う
この歌のコーラス部分（コージ君が歌うところ）
会場から「オオー」と自然にコーラスが湧く。
同じ空間で繋がっている感覚。
歌い終わってからケンジ君が
「野外っていいですね。
ライブハウスなら
自分たちの音が跳ね返ってくるのに
屋外ではそれがあまりなくて、
みんなの声が聞こえる。
今みたいに、自然にコーラスが届いて
本当に嬉しかった。ありがとう。」
水曜日に発売になったアルバム
「フレデリズム」の宣伝になって
今日終演後にも販売すること。
アルバムの特典をメンバーから渡すので
一言くらい話ができると告げた。
買おうかどうか迷っている人は
今から１曲、めちゃくちゃ
カッコイイ歌を演奏するので
それを聞いて買うかどうか決めて。
そのあと演奏した「ナイトステップ」は
アコースティックとは思えないほどの
キレのよさとエモーショナルなボーカルが噛み合って
久しぶりに鳥肌が立った！
やばい・・・これを聴けただけでも
もう１枚CD買って帰る価値が有る。
最後の歌は「ハローグッバイ」
もともと意味の深い歌なのに
夜のとばりのなかで野外ライブに響く
ケンジ君の声が
ものすごく染みた。
「宣言しておくけれど
（今日の３バンドの中で）
最初に武道館に行くからな！」
メンバーが欠けてもなお
前を向く覚悟と
パワーの強さに痺れる
【フレデリック】ステージだった。
続く
