まんぼうのうたネタ日記

はてなダイアリーから引っ越してきました。大阪住みのオバーチャンまんぼうが気になるうたネタを書いています。更新めっちゃ遅いです!

中断の1時間15分


ビジョンに映し出され、
同時にtwitterでも送られてきた
指示を時系列で並べてみた。


「みなさまの安全を優先し、
一旦ライブを中断させて頂きます。
ブロック外に出られているお客様は、
ご自身のブロックに入って下さい。」


「低い姿勢をとり、
両足の間隔をせまくして、
膝をつかずにしゃがんでください。
指で耳をふさいでください。」


「傘などの長いものは
素材にかかわらず持たないでください。
傘をお持ちの方は
絶対にささないでください。」


「約30分程で雨雲が抜ける
予報となっておりますので、
もうしばらく
そのままでお待ちください。」


「避難が必要な場合は
あらためて誘導いたしますので、
各ブロック、
スタッフの指示に従ってください。」


「天候が回復し、
みなさまの安全が確保されたと
判断したところで再開いたします。
それまでしばらくお待ちください。」


「木のそば、高いもののそばには
近づかないでください。
テントの下、テントのそば、
建物の軒下も危険ですので、
離れてください。」


矢継ぎ早に出される指示の合間にも
雨は強まり、
雷もどんどん近づいてきた。
雨合羽を着込んだまんぼう。


まんぼうのとなりに立ってた
高校生らしい女の子は
ノースリーブのシャツにタオル一枚。
すでにずぶぬれで、なにも防ぐものがない。


荷物をあさって、まんぼうが取り出したのは
綿の長そでパーカー。
紫外線防止に持ってきたもの。
女の子に差し出した。


「なにもないよりはましだから。
どれだけ濡れてもいいから
着ててね。」


その間にメインステージの
電源はすべて落とされた。
誘電を防ぐためだったのだろう。
ハンドマイクで呼びかける
スタッフの声が
はげしい雨でかき消される。


足の間隔をせばめて膝もお尻もつけずに
しゃがんでじっと待つこと。
ぜひやってみてほしい。
これがどれだけ苦痛を伴うものか。


でも、確かに理にかなっている。
一番恐ろしいのは雨よりも
雷の電気で感電すること。
電気は、入り口と出口がある場所を通過する。
たとえ近くの大地に雷が落ちても
地面についている箇所がひとつだけなら
人間は感電しにくいのだという。


雷には目があるわけじゃないけど
地上に落ちるときには
とりあえず付近の一番高いものに
落ちやすい。


雨宿りに逃げ込みたくなる
木の下やテントの下を禁止したのは
ちょっと恨めしかったが
とても賢明な指示だった。


昨年夏、急な雷雨が
EXILE】ライブ入場待ちの列を襲った。
近くの木立に逃げ込んだところに落雷。
地面を伝わって感電し、2人のファンが死亡した。
大阪市長居公園での出来事だった。


これ以来、野外フェスでの雷雨対策は
必須になったわけだが、
つま恋での指示は本当に的確だった。


ただ、それと、
実際に雨に打たれるのは別物だった。
おそらく、
1時間あたりで50ミリを越すであろう
猛烈な雨!
まるでイルミネーションのように
ピカピカと頭上を走る稲妻のコラボ。


顔をあげることもできずに
じっとしゃがんでいても
足元の芝生の排水が追い付かず、
靴の方にじわじわ水位が上がってくる。


あいにく布製のトートバッグを持ってきたので
中のものも水浸し。
せめても、とバッグの上にタオルを乗せて
タオルがびしょびしょになると
手でしぼっていたのだけれど
3分しか持たなかったなあ。


500mくらい離れた林のなかに落雷!
ドンッ!!バキバキ!!
さすがに恐怖を感じた。


「ステージに雷が落ちる危険があります。
前の方は後方に避難してください!」


まんぼうのいるA2ブロックの柵の一部が開けられ、
Bブロックあたりの通路まで誘導された。
もしもステージに大きな落雷があれば
15-20m圏内は側撃の危険があるから
これもまた賢明な判断だ。


このときパーカーを貸した
女の子とはぐれてしまった。
風邪をひかなければいいけれど。
あ、パーカー返さなくていいですよ。
980円で買って、十分に使い古したので!


これだけ大変な状況なのに、
スタッフに食って掛かっている人を
びっくりするほど見かけなかった。
雨雲の抜ける予報を聞いていた女性が
まんぼうの近くに一人いただけかな。


後ろのほうのゆったりゾーンには
家族連れもいただろうから
帰った人もいたかもしれない。
それはそれで、賢明な判断だっただろうね。


Aブロックの群集は
驚くべき素直さで指示に従って
雨に打たれながら耐えた。
この豪雨では、合羽を着ていても、
服がすべてびしょ濡れになる。


近くにいた中年男性は
疲れ切ったように地面に座り込んでいた。
地面というよりは
水深10センチの水たまりに浸かっていた。


やがて、雷の間隔があいてきた。
雨の勢いも心なしか弱まった。
やった!再開か?
しかし、安全と判断されるまで
さらに時間がかかった。


「まもなく再開いたします」


この表示が出たときの
歓声とほっとした空気!


でも、いったん避難したA2ブロックになかなか戻れない!
再開のアナウンスがでたことで
A2ブロック後方にいた人が一斉に前に詰めてしまい、
避難した人が戻ろうにもなかなか進めない事態になった。
このあたり、座席指定じゃないから文句はいえないな。


ブロック入口のスタッフが言っていた。
「今はみなさんの良心を信じます。
本来ならリストバンドを確認しないといけないですが
こんな状況ではできません。
だからみなさんを信頼してお任せします。」


大丈夫!外に誘導されたのは
A2ブロックばかりだったんだから!


とはいうものの、後半はブロック中ほどの
背の高い男性の肩越しに
チラチラ見る展開になった。


ステージに照明がともり、
真っ先に走り出てきた
ポルノグラフィティ】が
思わず泣いた!
大きな混乱もなく、
大多数のオーディエンスが
過酷な状況を乗り切って
フェスの続行を待っている!!


そのことだけが
後続のアーティストを
奮い立たせたのは
事実だと思う。


続く